第4話 さしつさされつ 〜指値・逆指値
「それでツールはなに使ってる? iPhone?」
「はい、Cymo*1 のデモアプリです」
「ふむ、Cymoは早くからデモアプリがあったし、いいんじゃない」
「話は戻るけど」
「ハイ」
「指値注文をあんまりしないのか?成行ばっかり?」
「…そうですね」
「どうして?」
「どうしてってこともないですけど、逆指値は必ず入れてますよ」
「実は…よく分かってないだろ?」
「うっ」
「ドル円4時間足、アップトレンドにラインを引いてみた、どう思う?」
「雲に触れる辺りで買いたい感じすかね」
「そうだな。お前、そのあたりに来るまでまでチャートの前で待機してんの?」
「はい、見てますね」
「4時間足見てるんだよ」
「あそうか、もっと短いチャート見ますね」
「うむ、要するにそういうことかスキャルピングなんだな」
「数時間持っている時もありますよ」
「いつもどの時間のチャートみてる?」
「時間足から5分足ですね、たまに1分足も」
「ティックか、確かにそれなら指値は不要だなぁ」
「この話は忘れてくれ」
「そんなぁー、教えてくださいよ」
すがりつく…
◆ ◆
「俺らサラリーマンは一日中チャートに貼りついているわけにはいかない、そうだよな」
「はい」
「そこでリーブオーダーをしておく」
「『リーブオーダー』というのが『指値』『逆指値』注文のことなんですね」
「先ほどのチャートで 121.20 で買いの指値 を入れてみるぞ」
はぁ、と気の抜けた感じの声を漏らす。
ニヤリと安藤。
「ここまでは分かるだろう? 買いたいので指値をした。では売りたいときの指値はどうやる?」
「…逆のことをする」
「うんそう、売りのときは下るだろうと見たときに現価格より上に指値を入れる」
「…ええと、」
「さて次は逆指値の話な、買いの場合はー、」
「ちょ、ちょと、待ってください…」
「ネをあげるのはやいな…」
「エントリした後、ストップロスのために逆指値を入れるというのは分かっているんですけど」
センパイに散々云われましたから、とユキヲ。
「エントリで逆指値というのがよく分からない…」
「ふむ、話を指値に戻すぞ、」
と云いながら簡単な図を紙に書く安藤。
【パターン1】
指値の解説でよく見る図である。
「実線が相場の動き、赤丸が現在値。予想した動きが点線な」
「はい、買いの指値をするパターンですね」
「青丸で指値をする。でいいよな」
うなずく。
「そしたら、こっちの場合はどうなる?」
【パターン2】
「下がらないでそのまま上昇を予想したということですね」
「そう」
「ここで買いたいです」
「うん、これが『逆指値』」
「分かったような… 分からないような…」
「シンプルだよ。現在価格より、下で買うなら指値。上で買うなら逆指値」
「では、売りの場合はどうだろう」
ユキヲがすぐに答える。
「現在価格より、上で売るなら指値、下で売るなら逆指値」
「そのとおり」
「そこまでは理解した覚えがあるんですけどねぇ、どうしてわけ分からなくなっちゃんだろう…」
「それはアプリの注文画面の問題なんじゃないかと思う。一画面に色々詰め込んであるのが多いから。よくわからんって人は成行ばっかりやることになる。」
そう、キミだ。と指さされる。
「いいか、リーブオーダーは4種類しかない、オーダー前に何をしようとしているのか分かっていれば迷うことはない」
「なるほどー、」
「でも、逆指値したいときってどういう時ですかね?」
「これならイメージ湧くんじゃないか」
「レンジブレイク狙いだ!!」
(つづく)
■登場人物
ユキヲ:FXデモリトレード中。リーブオーダーを覚えたぞ。
安藤センパイ:多少は心得がありそうなFXトレーダー。今回は真面目な話ばっかり。
*1:http://cymo/ いつの間にかCyberAgentから、YJFXになってた。